フィギュアスケート最近観たものの個人的感想☆海外選手
最近観た(とはいえTV観戦)フィギュアスケートに、ごく個人的に思ったことなどを書いてみようと思います。
まずその前に、
私の作品ですみませんが、同じ大きさの折り紙で作った二つの切り紙作品を見て下さい。
氷をテーマにしたAとつる草をテーマにしたBの切り紙ですが、どちらがお好きですか?あるいは、どちらが作るの難しいそうだと感じますか?
Bが好きだな、と思ったあなたは多少なりとも美術の世界に関心をお持ちなのではないかと思います。
そして、
Aのような手法を私は「素人だまし」と勝手に名付けています。アートに日ごろ関心のない人を簡単に「すごい」と思わせることが出来るからです。
一見、Aのような密度の高い細かい物は難しそうに見えるのですが、実は詰込み技はカットの粗さ(描写ならタッチ)をごまかせる上に、空間のバランスや線の強弱、つまり抑揚を考える必要もなく簡単です。短い直線で構成するほど簡単です。
一方、
Bは線が長く、おまけに曲線で、本数も少なく構成しています。そうすると線と線の間に大小さまざまな空間が生まれ、俄然、そのバランスを取ることが難しくなります。線にも太さと細さの抑揚を付ける必要ができ、詰まりすぎも空きすぎも許されません。カットの粗さも目立つので丁寧な作業が必要になります。こういう作品を作るときは、バランスが難しいので何度も下描きを描き直します。
難易度で言うと、
A <<<<< B
です。
ところがBは簡単なものだと思われてしまうのです。
Bの優雅さは、見た目の「すごい」を演出しやすいAにやられてしまうのでした。
このことを少し覚えていてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうそう、
フィギュアスケートはアメリカ大会、カナダ大会、フランス大会と観たのですが、改めて感じたことはアメリカの人材の豊富さと質の高さでした。
〇アメリカ勢のいいと思ったところ
●個性が活きている(体系にもバラエティーがある)
●パワーも情感もテクニックも持ち合わせている
●私生活の充実がうかがえるキラキラ感(楽しんでる感)
●長く続けられる人が多いので見ごたえがある
いろいろな人がそれぞれの個性を発揮しているので私は見飽きないです。それぞれの個性でどんな演技をしてくれるかも楽しみです。
日本の選手もなかなかに個性が活きていると思いますが、さらにアメリカが強いところは、真面目でストイックになりがちな日本人に比べて、私生活も人生をフランクに楽しんでいて、そのキラキラ感が演技にステキなオーラとなって出ているところかなと思うのです。
今回のアメリカ大会女子シングルでは、ブレディー・テネルさんに一番見入ってしまいました。知らず知らず集中して見ていたようで、演技が終わった時「え、もう終わったの?」と。(申し訳ないけど、集中して見られない演技は長く感じられてしまう)
なぜそんなに見入ったのだろうと考えてみましたが、雑味の少ない滑らかさで見やすかったのと、大人の女性の自信のようなものを感じてほぉ~💛となったからなのかなと思います(笑)
そして、キラキラ感満載のマライア・ベルさん、彼女を見ているとアメリカの雄大な大地の中でヘルシーに育った女性(?)の匂いと風を感じるのでした。(トウモロコシ畑や牧草の香りと景色みたいな)
それは彼女の魂の情報だったのかもしれません。そういうものがオーラとしてあふれ出していたように思います。
で、カムデン・プルキネンさんを初めて観た(と思う)のですが、またまたアメリカはこんないい人材を隠し持っていたのねっ!何?この登場してきただけでドラマチックなオーラを放つセクシーな男性は!とにわかに興奮(笑) (男の色香は貴重品です)
しかも雰囲気だけでなく、高度なジャンプもこなしてくる。アメリカの上位の選手は本当にそろえてくるなと感心しきりです。これからが楽しみな選手です。
そして、シニアに新たに上がってきた日系の樋渡知樹さん。
まだ粗削りなのね~表情もまだ硬いのかな。と思って見ていましたが、
エキシでルパンを演じるとイキイキ、おしゃれ感も面白さも柔軟性も発揮。
なぜこれをSPとかでやらなかった…‼ (ある意味漫画を演じるとイキイキするのは日本人のDNAのなせる技だと思ふ)
村上大介さんみたいに日本語おぼつかないのかな?と思っていたら、インタビューでめちゃペラペラなのには驚きました。
しかもネイティヴな関西弁で普通に関西のおっちゃん風味なのには笑いました(笑 )好感度あがる⤴
さて、
褒めるものは褒めたので、そろそろ読む人を怒らせることを書こうと思う(笑)
アメリカが上の切り紙のBタイプだとして、
その真逆の詰込み型・素人だましAの手法を実践していると思われる国となんとなく私が勝手に思っているのは、ロシア、とくに女子です。ラジオノワさんの出現辺りからアーティスティック・スイミング(Aスイミング/旧シンクロ)の悪夢が頭をよぎってやや落ち着かない気持ちにはなっていたのですが…
〇Aスイミングの悲劇(と勝手に命名)
フィギュアスケートや新体操とともに、数少ない芸術のスポーツ、Aスイミング。
技の協調性やすごさを競うのはもちろんのこと、独創性やチームならではの個性、また、演目によって毎回変わるユーモアな見どころ等、けっこう見るのを楽しみにしていました。
日本も表彰台の常連で、高い芸術性を海外にも評価されていました。
んが、
ある時からロシアがぶっちぎりの無双になってしまい、それまで個性や芸術性を評価されていた日本やスペインが台乗りできなくなっていきました。(いま日本はやや復活か)
ロシアを常勝国にしたその手法とは、
息もつかさぬ技の詰込みガガガっ!
とにかく点数を稼げる大技の連続ドーン!
ありえないほどの要素をこなすためのスピードぐわ~っ‼
要は、点数をとることに特化した戦略の詰込みで構成したわけですな。
最初はそれでも「これだけのことが出来るなんて、ロシアすごいね~」と素直に感服していたものです。
ところが、
毎度毎度同じ手法。とにかく詰込みと大技で得点奪取。エレガントさや緩急、遊び心の介在しないワンパターン・・・。冷静に見てみると、ニュアンスの難しさや緩やかな動きの減点要素をスピードで誤魔化しているだけなのでは・・・(上の切り紙Bパターン)
そして、悲しいことは、
ロシア方式が基準になってしまうことで他国も上位になるために芸術性よりも大技を重視しなければならなくなったこと。ニュアンスを入れる余地が無くなっていったわけですね。
とにかくありえないほどのスパルタに耐えうる人材を、大量の卵の中から選りすぐり、容赦なく切り捨てながら少数精鋭を作る。人権無視で鍛える。これを出来る国というのは限られてますね。それもこれも国も名誉のため?馬鹿らしい話です。
もう今年は見なかったです。(そもそも日本が弱くなって放送も少なくなったし)
で、
この悲劇がフィギュアスケートにももたらされようとしてるんじゃないの?
といううがった目で、ロシアの新世代を見てしまいます・という話です。
「そんなことはない、あの子たちは可愛いし努力家で良い子だよ!」
と思いますよね。
そりゃ選手は悪くない。
一生懸命で可愛い、そしてすごい子たちだとおもいますよ。
愛らしいと思うしね。
でも、
要素を詰め込む&大技を連発する&スピードで押す
ところが何か『Aスイミングの悲劇』に重なりませんか?
選手の体形も少女のような体形からついに幼女のようになってきました。15歳のロシア女性からするとかなり小さく細い気がします。厳しい食事制限で生理も止まり、少女のような体形になるという話もありますが、それが本当なら怖すぎ…
(シャラポワさんの15歳の頃。ロシア女性の成熟は早い…)
しかし、
時すでに遅しか? 今や芸術性より高難度のジャンプをどれだけ入れられるかが勝敗を握ってしまっている気がします。また、選手たちも上位を目指すためにはジャンプに集中しなければならない状態なのではと…。
フィギュアも大技と詰込み>個性や芸術性
になってしまうのかな…かなしひ…
コストルナヤさんは芸術性が高い・・・?
私は芸術性には「テクニックの芸術性」と「感情からほとばしる芸術性」の2種類があると思っています。
「テクニックの芸術性」とは、バレエの仕草などを学んで«こう動けば芸術的に見える»という『芸当』です。
「感情からほとばしる芸術性」とはその名のとおり、音楽やその世界に心酔することによってあらわれる動きや雰囲気です。
よく、ピアニストが上体を反らしながら弾いていたり、バイオリニストが眉間にしわを寄せて演奏してるじゃないですか。あれは奏者いわく音楽との一体感を感じたりした時に「とてもセクシーな気持ちになっている」「神様とお会いしている瞬間」などとのこと。
情感が高まって自然に動きや表情に出てるんですね。それが「感情からほとばしる芸術性」で、このように上体を揺らしたり眉間にしわを寄せて見せたら情感があるように見えますよ・というのが「テクニックの芸術性」だと解釈しています。
申し訳ないが、ロシアっ娘はまだまだ「テクニックの芸術性」だろうと思って見ています。それが出来るのもすごいことだけど、私個人は興味がありません。3~4年後?心を体現できる域に達するであろう頃まで保留にしておこうと思います。
あと、
速さで粗を誤魔化せない演技に切り替わっていたら…
(ロシアっ娘は美人ぞろいだしな)
厳しい感想を書きましたが、
今季のザギトワさんの色香には何やら良い未来が見えてきました。
ザギトワさんは美人だしお人柄も好きです。日本に好意を持ってくれていることも嬉しい(笑) しかし、演技にはあまり興味がありませんでした。国の方針だから仕方ないのでしょうが、得点になることに焦点を当てて構成されている演技をものすごい運動能力でこなしてるんだな~ぐらいに思っていたので。
が、
今季のザギトワさんからは大人の色香と凛とした強さが漂い始めています。
ロシア方式でやっていても、経験を重ねるにしたがって中身がほとばしる演技になってくるのだなと、良い希望を感じました。
●点数至上主義(詰込み、スパルタ、必要あらば誤魔化し)
●人権無視(個性より得点、大量に集めて切り捨てていく、不健康なダイエットや管理)
●表面的(見た目への強いこだわり、テクニックで押し切る美)
●「好き」より生活の為(キラキラ感が無い)
というという印象を持ってしまっていましたが…
トゥクタミシェワさんだけは自分の色香を発揮することが大好きな個性イキイキタイプだと思ふ(笑)
好きですなぁ~(笑)
また、
カナダに拠点を移すという大いなるチャレンジを実行しているメドベデワさんに、私は今季、初めて内側からほとばしるオーラを感じて感動しました。
成績のことであれこれ言われたりもしたようですが、いや、彼女はすごく良くなったと思ふ。申し訳ないけど、ロシア時代の演技は表面的だな~と思っていました。「こうすれば情感や個性に見える」みたいな。演技のオーラが体の表面だけを覆っている感じ?
私は人のオーラまでは見えませんが、しかし、表面だけ取り繕ってるオーラと、その人の個性や心、感情が内側からあふれ出しているオーラの違いは何となく感じられる…と自分では思っています。
今季のメドベデワさんは内側から存在感を放っていることを感じました!
何かがあった…!? 人としての厚みが増したメドベデワさんを、今後もロシアの代表として見届けたいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうそう、
カナダ大会にロマン・サドフスキーさんが出るというのでTVで観られるのを楽しみにしていたのですが、省略されて放送されなかった…(´;ω;`)
どゆこと?
と思って順位を確認したら、SP11位、FP8位だったとのことで、限られた放送枠から漏れてしまった模様。そんなにひどい演技だったんだろうかとYoutubeで観てみました。
いやいや、とても美しく、柔らかで繊細な演技に魅入ってしまいました。音楽も彼にピッタリでうっとり。ジャンプが上手くいかなかっただけなのですが、ジャンプが上手くいかなかっただけで上位争いからもれてしまう現代フィギュアの厳しさ(>_<)
お客さんも彼の作りだすムードにうっとりしている様子だったのになぁ。
こういう人の心を魅了した部分にもがっつり点数が入るならサドフスキーさんももっと上位に居たに違いない。
素晴らしい表現力を持ちながらも、ジャンプが高度じゃないというだけで表彰台に近づけない選手の方々を見るたびに、私は度々思ふ。
一つの大会で二つの表彰部門「表現力部門」と「運動能力部門」を作って、
表現者も、スポーツ選手としての能力者も各々に表彰してほしい…と。
どちらの表彰台にも乗れる人もきっとおられると思うし。
ジャンパー有利になっている今の採点には度々モヤモヤするのですが、
「そうや、好きやないタイプなら最初から観なくてええやん」
と、先日からふと思うようになり、
興味を感じないジャンパーの人が出てきたときはコーヒー飲みにダイニングへ行くことにしました。
「好き嫌い関係なく全部観なければ分からない」という思い込みに、自分で自分をイライラさせてしまっていたわけですね。これからは気分をサッパリさせるためにも、興味ある人だけをサクッと観るようにしたいと思います。解決。
日本の選手編・女子はこちら↓