『作品168.白い環 制作過程②』のつづきです。
切り紙が切れ、いつもならここで終了ですが、
今回はそうもいきません。
なぜなら・・・

それは2ヶ月前のこと。
公募に出品することを決め、出品料を振り込んで数日後のこと、
ビエンナーレを開催する事務所から電話がかかってきました。
「ドローイングでないと応募していただけません。
切り紙はドローイングではないので、
出品料を返金させてもらって…うんぬん」

え、何だって?
平面だったら幅広く受け付けていると思って、
切り紙でも出品できると思ってたのに、
「ドローイングで無いと駄目」 とはっ!
だったらそう書いといてクレ~・と思いましたが、
もしかしてこれは常識だったのでしょうか・・・?
そう。よく
「作品、出品してみたら~?」
と言われたりしますが、
〈切り紙〉という媒体のものを出品できるビエンナーレなどは
そうそう無いのであります。

絵画にも属さず、かといって立体でも映像でも
PCを使った媒体の物でもない。
手作り品というのでもないし、
本当にどのジャンルにも属せず、困ってしまう・・・
おまけに、
「子どもの遊び」の域を出ないものとして、
「うちは近代アートですから」と断られたりもする。

「・・・ここで引いてはイカン!!」
なんか、返金されてハイ終わり!というのが
どうにも解せなく感じられて、
このように言い訳して押し切るに至りました。
「背景をパステルで描こうと思っているんですけど、
パステルならドローイングになりますよねっ」
と。
向こうの方は電話越しにも、
かなり戸惑っておられるのが分かりました(笑)
「切り紙が作品と言うのではなく、
あくまでも添えられてあるものというのであれば・・・」
そういうわけで、
あくまでもドローイング作品である!
という前提での制作となりました。

最初は円状の大きな切り紙をどーんと製作するつもりでいましたが、
切り紙が主役であってはならないので、
パステル画が中心であるよう、
切り紙は極力目立たない方向に切り替えました。
ということで、切り紙は
円の4分の1を右下にすえるかたちにしました。
さて、
そのパステルでのドローイングですが、
正直、私は描くことはあまり得意ではありません。
少しかじった程度で、
熟練とは程遠いものです。

しかし、そうも言っていられません。
やるのみ・であります。
青白い生命の焔(ほむら)のようなもの、
つまり、
地球を含む、エネルギーの光を表現したい。
得意ではないドローイングで(笑)
スポンジや指で削ったパステルの粉を
くりかえし・くりかえし
重ね塗りしていきます。

白、青、黒っぽい青・・・
重ねて重ねて、
想い描く理想のグラデーションを目指します。
そして、
こんな感じになりました。

青白い霊気(エネルギー)のようなものが
立ち昇っているように見えるでしょうか?
しかし、
命やエネルギーというものは視覚化しにくいものです。
自分の中では、エネルギー体というのは
光る煙のような物でありながら、
もっとキラキラとしているのです。
なので、
いろいろなラメを塗り重ねて
キラキラとするものを表現してみました・・・

写真には上手く写りませんが、
いろんな色の細かい光がチラチラとしています。
後は、
切り紙との具合を見ながらラメを重ね塗っていきます。
さて、
切り紙はあくまでも「添え物」ですので、
パステルに対してあまり目立ってはいけません。
切り紙に同系色のパステルを塗り重ね、
命の焔の一部にしていきます。

あまり強くこすると切り紙が切れてしまうので、
慎重に、かなり時間をかけて色を塗り重ねていきました。
そしてさらに切り紙にも同じ色のラメを塗り重ねていき、
こんな感じに塗り上がりました。

といっても、写真では見えませんね(汗)
拡大写真。

いろんな色のラメがキラキラしてるの、見えます?
で、ですね、
これを先ほどのパステル画に重ねるのですが、
少し物足りない空間が気になりまして、
もう額縁やさんへの提出日の前日の晩でしたが、
あわててもうひとつ、
切り紙を制作することにしたのでした。
背景とほぼ同じ色にする予定なので、
あっさりとしたフォルムで
なんとかエゾシカの切り紙を作りました…

これを、
青黒く塗って、青ぐらいラメを重ねて、
背景に同化させます。
しかし、
もうひとつ切り紙がほしい!
でももう提出日の早朝で~す(汗)
ということで、
このあいだ作った「おかえりナターリャ」を使うことに!

この「ナターリャ」のデコレーションの様子を
UPしますね。