苔を近くで見てみたら。①
山陰はありえないぐらいじめじめしています。
街ならともかく、
やぶだらけの私の居る地域はじめじめ度数がより高く、
そこかしこが苔だらけです。
せっかく田舎に来たのだから
いろんな作物や果樹を植えてみたかったのですが
我が家は竹藪と住宅に囲まれて日あたりが悪いので
残念ながら植えられるものが限られています。
はらがたったので、
庭に苔でも植えようかと思い、
図書館で苔の本を借りてきました。
まずは近くの苔をカメラで撮って観察することにしました。
ああしかし、雨風に邪魔されて
片手に持った傘が風にあおられながらカメラを構えるという
ちょっと無茶なことになってしまいました。
もともと接写が得意ではない壊れかけの古いデジカメです。
かなり四苦八苦しながら写真を撮る結果になってしまいました。
出来はともかく、
日ごろあまり近くでじぃ~っと見ることのない苔を
近くで見るとどんな感じなのか
簡単に見ていただけると嬉しいです。
住宅の石垣にむしている苔をズームアップ。
ギンゴケという苔でしょうか?
この苔からとびだしているものは
朔(さく)という胞子が入ったものだそうです。
ここから胞子をとばして増えていたんですね。
同じ石垣でもいろいろな種類の苔が混在しているようです。
これはスナゴケというものでしょうか。
はうように拡大していっているのが分かります。
これはホソウリゴケというものかなぁ。
根っこのない苔は寄り集まることで支えあい、
また、互いの間に水を閉じ込めておくことができるそうです。
だからこんなにぎっしりと密集しているんですね。
この、緑色のヅラがポンと置かれたような形態の苔は
ハイゴケでしょうか。
苔はベルベットのような質感のイメージがありましたが
これはがさがさとした印象の見た目です。
よ~く見てみると、けっこうトゲトゲしてるじゃないですか。
正面から見るとこのとおり、麦の穂先のように勢いよく
外側へ外側へと拡大している様子が分かります。
苔は小さいけれど、
よく見ると生命力にあふれています。
これはハイゴケの朔(さく/胞子が入ったもの)かな。
朔にもいろんな形や色があるようです。
そのまま山の中に入っていきました。
さらにジメジメとした山道はまさに苔の北京。人口密度がすごいです。
山道の階段も苔の団地です。
山の苔は住宅地にある苔よりも
大きくあらっぽい感じがします。
これはホウオウゴケでしょうか。
苔とシダのあいのこぐらいの大きさです。
もはやベルベット感はありません。
切り株にもわらわらとはえています。
ハイゴケかな。
山から出て、家に帰りました。
家の庭にはなかなか面白いものが生えています。
ネットなどで調べた限りでは、ヒメジョウゴゴケと形状が似ていると思いました。
ただしヒメジョウゴゴケなら苔ではなく
地衣類(ちいるい)という菌類になるようです。
苔を越えて菌類が発生するうちはどんなにジメジメしているのでしょう…
そして後日、
久々に陽があたっている日に
再び苔をカメラに収めました。
道路わきのコンクリートにはりつく苔。
心なしか、お天気の日は鮮やかさが落ちて勢いがないような?
近くで見てみると
小さな花がたくさん咲いているような形をしていました。
これがいつもはただのフサフサに見えるのだから不思議です。
まだ早朝まで降っていた雨のしずくを
大切そうにふくんでいました。
苔は根っこがないうえに体に水をためることができないのだそうです。
なんとか水をひっかけたり閉じ込めたりしておきたいという
苔の切実な気持ちが見えてきそうですね(笑)
この苔の、赤いつぼみのようなものは
この苔の朔(さく)なのでしょうか。
非常にバリエーションに富んだ苔の世界です。
こちらの苔はより細いヒゲヒゲがついています。
下のほうからちょこんと顔をのぞかせている赤いものが
この苔の朔だとおもわれます。
むっちりと密集している形状の苔。
アップで見るとこのとおり。
通りわきに植えられている、
丸く刈り込まれた低木とちょっと似ています。
宇宙と細胞はそっくりだといいますが、
苔も木も、大きさが違うだけで
同じような形状の世界がそこにあるのかもしれません。
お天気のいい日の写真がもうちょっとありますので