オリガミ ヲ キリガミ オカルティー(総合)

(﹡ˆ﹀ˆ﹡)♡ syandery名でツイッターもあります☆そちらのメッセージ機能もご利用いただけます

『音楽を理解』とは?② 心に流れる音を聴いて

 
 
のつづきです( ・◇・)

このごろよく引用する
山岸涼子さん著の漫画アラベスクから
イメージ 1
また引っぱってきます。
音楽にのせて踊り、演じる人の苦悩と試行錯誤のさまが
よく分かる漫画です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

主人公はバレエ学校の学生ノンナ
学生でありながらアクロバティックなアクションが斬新な
アラベスク』という演目で一躍有名になる。

そのノンナ
学校卒業を前にバレエのコンクールに挑むことになるのだが、
学校の講師たちが彼女の演目を決める際、もめごとになってしまう。

「ノンナはキャラクターに向いている」という講師に
(キャラクテールは個性派の舞踊家で主役のプリマ格ではない)、
そんな事は無い、彼女はプリマになれる!という講師。
イメージ 2
ならば正統派のバレエをやらせてみようじゃないかということで
ラ・シルフィードという古典バレエが演目に選ばれる。
ノンナ、ピンチ!

ラ・シルフィードで何故ピンチかというと、
これは1800年代に作られた演目であって…
正統派だけど現代の派手なアクションのバレエからすると
かなり地味に見えてしまうじゃないか、ということだそうです。

たとえば体操の競技で50年前の演技をやって
今の体操の大会で勝てるわけないじゃないか・みたいな。



バレエのピアノを担当するカリンにズケズケと言われるノンナ
イメージ 3
 
「あなたシルフィード苦手なんでしょう」

そう、アクロバティックで激しい踊りが得意だったノンナ
古典バレエに不向きなのでした。
 
 
しかもノンナにはさらに不利なことが…
(↓ノンナのバレエ・パートナー、レミル)
イメージ 4
 
ラ・シルフィードを予選ではなく最終戦で踊れという無茶ぶり。

ラ・シルフィードがどんなに地味な演目かというと、
このとおり↓

Les Sylphides ワルツ 
 



苦悩するノンナ
 
イメージ 5
ノンナはすでに世界的に有名になってしまっているので
学生のコンクールなどでは優勝以外ゆるされないのです。


自分の持つ雰囲気や特色が何であるのか戸惑う。
 
イメージ 6
 
身体の大きなノンナシルフィード(妖精)のイメージからは
かけ離れているのでした。


ピアニストのカリンが亡くなった恋人ローゼのことを語る。
(彼女はレズビアン)
イメージ 7


「妖精のような子だったわ、小がらで、きゃしゃで、優雅だった」
イメージ 8
ローゼが一番得意だったのはね…」

 
イメージ 9
 
「妖精のような彼女がシルフィードを踊る、当然よね」

ノンナ、またもコンプレックスを突かれ、ショック。


ますます落ち込み、自信を無くすノンナ
イメージ 10


レミルシルフィードを踊るのにそんなに外見が必要かい?」
イメージ 11
「一見その人にあってないような踊りを踊りこなしてみせる、
そこに素晴らしさがあるんだよ」

「ただ きみが踊れないと思いこんでいることがいけないんだ」
イメージ 12
(レミル優しい。 「ノンナ、クールな先生を追うよりも
すぐそばにいる優しいレミルにしときなよ!」
と、読みながら何度思ったことか(笑))


そんなレミルとのほっこりエピソードの裏では、
講師たちによってさらにノンナに厳しい取り決めが行われていた…

コンクールでの衣装を1800年代当時と同じものにしよう、
なんて話になってしまっていて…
イメージ 13
それは明らかに踊りには不利なゴテゴテとした装飾衣装なのです。
先生の反対も空しく、当時と同じ衣装で踊ることに。


先生シルフィードというものをどう解釈するのかね」
イメージ 14
ノンナ「妖精…小柄できゃしゃで…」



先生のことを想いながらも思いを告げられないノンナ
またもカリンからきつい言葉を投げかけられる。
イメージ 15
 
「可愛くててご清潔なだけのシルフィードしか踊れないものね」


こうズバズバ言ってるカリンですが、じつは
これはノンナのことが好きな気持ちの裏返しなのでした。

ノンナを愛そうとして拒否され、憎まれ口を吐くカリン
「あなたなんかにシルフィードは踊れない!」
「人と人のふれあいに酔えないような人間に!」
イメージ 16
「わたしが、わたしが冷たい人間‼」どーんとショックを受けるノンナ


そうこうしているうちに、コンクールの現地入り。もう時間がない。
「あたしはあたしの踊りしか踊れないわ」
イメージ 17
レミル「それでいいんだよノンナ


気まずい状態のままコンクールでピアノの伴奏を担当するカリンも現地入り。
「そうよカリン あたしはあなたの言うように冷たい人間なのよ」
イメージ 18
「人間として未熟なままの冷たい…青いシルフィードがあっていいと思う」


そしてコンクール最終日、いよいよラ・シルフィードを踊る…

「私のシルフィードでいこう!」「青い冷たい人間であろうとも」
イメージ 19
ようやくノンナの自分らしさと、演じるシルフィード像が重なる。

ところが、演技途中で
カリンがピアノ演奏をやめてしまうというアクシデントが!


それでも自分の中に流れる音楽にしたがって踊り続けるノンナ
イメージ 20
踊るということに自分のすべてを捧げたその時、
ノンナは奇跡の舞踊を見せる。


だが審査員は「音楽がない」という前例のない事態に
評価すべきかどうかという議論をしていた。


「音楽というものが必ずしも楽器で奏されるものでしょうか」
「聞こうと思うならば我々をとりまく生命あるすべてのものから
音楽を聞きとることはできるのです」
イメージ 21
ノンナが自分の心に流れる音楽を聞いて踊り続けたことを
奇跡と評価する審査員。


さて、結果、ノンナはどうなったかというと…?!

ネタバレになりますが、
まあ、少女漫画ですから、
物語のラストですから、
いわずもがな!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

イメージ 22
この作品アラベスクは1971年から連載されていたもので、
47年も前にこのような力強い漫画が存在していたのだなと
驚くばかりです。

作者の山岸涼子さん自身にバレエの経験があるだけあって
非常にバレエ界の事情やダンサーの心情がリアルです。
スポーツとしての鍛錬だけでなく、
芸術としての解釈の難しさをも描いておられます。
名作ですね。


「心に流れる音を聴く」
「聞こうと思うならば我々をとりまく生命あるすべてのものから
音楽を聞きとることはできるのです」

楽家舞踊家だけでなく、
アーティストや作家、あらゆる芸術に共通する
大事な心の要素かなと思ったので
引用しました☆


アラベスク』に興味がわいたあなたっ
文庫本で4冊ほどですのでぜひ手に取ってみてください♪